滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
重ねる肌にさよなら
そして短い針が真上を指した頃…。
「大丈夫ですか?奈緒子さん」
「だ、だ、だいじょうぶ〜」
完全に酒に飲まれてしまった私は彼に支えられながら自分の部屋へ向かっていた。
元々アルコールが弱いくせに、
雰囲気と勢いでワインを飲みすぎた結果、
足は千鳥足で体は熱く火照り、何とか意識がある状態にまで落ち込んでしまったのだ。
「ほら着いたよ、部屋。カードキーは?」
「ジーパンの後ろポケットのなかー」
きゃはははと笑いながら話す私を彼は呆気にとられながら、ポケットからカードを引き抜いた。
そして鍵が解除され扉を開き、私を片手の力だけで支えながら中へ入っていく。
「今、水持ってくる」
彼は私を優しくベッドに寝かせると、
そのまま洗面所へ行きコップに水を入れ戻ってきた。