滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

ムフフと不敵な笑みを浮かべるあずさの表情がつい気になってしまう私。



あずさはいろんな部に知り合いがいて、裏の内部情報にやたらと詳しいのだ。




「…なによ」

「あ、気になっちゃった?」

「ってそっちからふっかけてきたんでしょ?」

「今日のランチ奢ってくれるなら話してもいいかな?すっごいビックニュースなんだから」

「…今回だけね」

「さっすが奈緒子!」



ちゃっかり者の口車にまんまと引っかかってしまった私。


しかしあずさの情報は確かなので、
ビックニュースとなるとかなりの大事に違いない。




「今度うちの部に、新しい部長が配属されるんだけどね?」



ひっそり声で囁くあずさに、思わずフォークを持つ手が止まった。



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