滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
単純かもしれないけどやっぱり話せて嬉しかった。
それに財布の事、ちょっと嬉しそうだったし。
「何か前途多難な感じしたけど、頑張れそうかな」
初めて商品開発に参加することに正直戸惑っていたけど、
俊介がいれば大丈夫そうだ。
しかし、今だに部長補佐ってどんな事をするのか検討もつかない。
それに私をわざわざチームにいれた彼の思惑も。
とりあえず後の事よりの目先の事を考えよう!
「…」
オフィスの外から私にばれないように、
壁に寄りかかってひっそりと姿を隠す彼。
ジッと一点を見つめて考え込むように、
腕を組む。
だが、無表情ながらも心無しか寂しげな目線で、
それは誰かを思い苦しむような哀愁を帯びていた。