滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

ーーそれは二日前。


昼下がりのとある時間に、私は彼に呼び出された。


場所は会議室。




そこは主にプレゼンや上層部の人間達の打ち合わせ等に使う広い部屋で、
普段はあまり使う機会がない。


話があるならミーティング室で充分なはずなのに…。





「失礼します…」


部屋の扉をノックした後ゆっくり扉を開けて中へ入った。


しかし室内はガランとしていて静寂な空気が流れている。



私は初めて入る会議室にドキドキしながら辺りを見渡していると、
スーツを着た人間の後ろ姿が窓際にポツンとあった。




「あの、何か…?」


ドキマギしながら背後に近寄る私。



「…」


しかし彼は何も話さない。



その沈黙がどうも居心地悪くて、
私は更に語りかける。




「部長?何か仕事で不備でもあった…」

「ーー色々聞きたいことあるんじゃないの?奈緒子さん」



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