滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ドキッ!!
再び彼の口から出た私の名前を不意打ちに呼ばれ、
思わず胸が大きく跳ね上がった。
それに仕事中は必ず敬語のはずなのに、何故かタメ口に戻っている。
もしかして部長の顔ではなく、
出会ったあの頃の彼に戻っているのだろうか。
「…そりゃ、たくさんあるわよ」
私もつい無意識に敬語が崩れてしまう。
頭の中にたくさんある未解決の問題がこんがらがって、
何から問い詰めればいいかわからない。
「元彼、相当女癖悪いんだね」
「ーーえ?」
「見た目は出来る人間かもしれないけど、裏じゃ相当遊んでるみたいだよ」
ふふふと笑いながら話す彼の言葉がすんなりと心に入ってこない。
俊介が女癖悪いとか、
遊んでるとか…。
「ウソ…でしょ?」