滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
本当はそんなこと微塵も感じてないのに、
彼の視線と言葉があまりにも厳しくてそれから逃げるように私はとっさに口走ってしまった。
「ふ〜ん…」
ニヤリと口端をあげて薄笑いする彼。
その瞬間ーー!!
「いっ!」
いきなり手首を掴まれそのまま強引に窓に押さえつけられ、
私はその痛みに顔を歪めた。
「…忘れたいなら、忘れさせてあげるよ。奈緒子さん」
目と鼻の先に彼の顔があって、
クククッと実に愉快そうに笑っているではないか。
「なっ!」
「っていうか別れてどんだけ経ってんのさ。未練たらしく元カレ想っててもつまらないでしょ」
「貴方には関係ないじゃない!離して!」
「ーー嫌だね」
彼はそう言って手首を掴む手を更に強める。