滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬


「あ、…ゴメン、なさい」



彼の視線から逃げるように小さく呟くと、

彼はフッと笑って血を舌で舐め取り、そのまま私の唇をなぞるように優しく舐めてきた。




「アンタが初めてだ。俺の体に傷をつけたのは」




その瞬間、掴んでいた手の力が少し弱まって、
要約手首の痛みが収まった。




しかし胸の鼓動は収まる気配すらないし、

顔だって、触らなくてもわかるぐらいに熱い。




無理矢理こんなことさせられて絶対嫌なはずなのに、

どうしてーーーー。









「…俺がここに来た理由、奈緒子さんだけに教えてあげる」




声を潜めて、私の耳元に顔を寄せる彼。

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