赤い流れ星
言われてみれば兄さんの言う通りだ。
私はほとんど人間…それも現代風の人間しか書いてないから良かったけど……
獣人だったら、誰かに見られただけでも大変なことになる。
きっと、捕まえられて科学者達にいろいろ研究されるだろう。
ドラゴンなんかじゃ、それ以前に、隠しようがないし……
そう考えると、シュウは普通の人間だったから、外に出てもそれほど騒がれることはない。
戸籍の問題は大きいけど…それでも、まだ人間だったから良かったんだ。
そのことに気付いたおかげで私はなんだかほんの少し気持ちが楽になって、緩んだ頬はまだ突っ張っていておかしな笑顔になってしまった。



「今後のことは、俺も出来る限り協力する。
あ、シュウが本当に小説のキャラだと俺が納得出来たら…の話だぞ。」

そう言うと、兄さんはまたお弁当を食べ始めた。



良かった…
兄さんが助けてくれたら、こんなに力強いことはない。
兄さんは、母さんに似てなんでも出来る有能な人だから。
私だけではどうにもならないようなことも、きっとうまく解決してくれる…!

そう思ったら、私はまた胸がいっぱいになってしまった。
正直言って一人では不安だった。
私だけでどこまでシュウを守れるか、いつも不安に感じてたから……
それが、兄さんの言葉でものすごく勇気付けられた。



「……なんだ、おまえ、また泣いてるのか?」

「な、泣いてなんか……」

そう答えた途端に、涙がこぼれた。



「おまえ…小さい頃はそんなに泣き虫じゃなかったのに、どうしたんだ?
まだ涙もろくなる年でもないだろうに。」

「だ…だって、嬉しかったんだもん…!
兄さんが…協力してくれるなんて言うから……」

兄さんは、黙って私の顔に手を伸ばし、流れる涙を指で拭う。



「当たり前だろ。
俺達、兄妹なんだから。」

兄さんはそう言って少し照れたような笑いを浮かべた。



「兄さん…ありがとう…」

良かった…
本当に良かった…
兄さんがいてくれて……



私は心の底からそう思った。
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