赤い流れ星
深い溜め息をひとつ吐き、シュウはぽつりと呟いた。



「なるほど…そういうことか…」

「そういうことって……どういうこと?」

「どういうって……
だから、俺はその願いによって連れて来られたってことに決まってんだろ!」

「そ、そんな馬鹿な…
願い事が叶って、オリキャラが現実の世界に現れるなんて……
ないない。
そんなのファンタジーの世界にしかないって。」

私のその一言で、シュウの視線が一際鋭いものに変わった。



「じゃあ、ここにいる俺は何なんだ?
なんでここにいる?
今の流れ星のこと以外に、何か思い当たるようなことがあるのか!?」

「そ…それはないけど……」

「……新聞は?」

「え?新聞?とってないけど…」

シュウは小さく舌打ちをして、携帯を持って来いって言った。
何をするつもりか知らないけど、とにかく機嫌が悪そうだったから私は慌てて携帯を取って来て、シュウに手渡した。
携帯を受け取ったシュウは、液晶を見ながらすぐになにかを始めた。



「……何、見てるの?」

まさか、メールチェックとかじゃないよね?
まぁ、メール自体少ないし、たいていは家族との他愛ないやりとりだから見られて困るようなものはないけど…



「昨夜のニュース…
……カリスタリュギュウス流星群か…」

「カ……何だって?」

私の問いかけを無視して、シュウは画面に見入っていた。
片手でボタンを押しながら、かなり真剣な顔つきで…



「……見てみろよ。」

不意にシュウが私に携帯を手渡した。
その画面には、さっきの舌を噛みそうな流星群のことがびっしりと書かれていて……
あんまり興味のあるものでもなかったから、飛ばし飛ばし読んでみると、いまだ詳しいことが判明していないが、チャネリングの世界では有名な星だとかなんとか、なにやら怪しいことが書き込まれていた。



「チャネリングって、確か、宇宙人と交信することだったよね?」

「ずいぶんと適当な解釈だな。
まぁ、ものすごーーく簡単に言うと違うとも言えないが……
要するにカリスタリュギュウスって星は、スピリチュアルなパワーを特別多く持った星だから……
おまえの思念を具現化してしまったってことなんだろうなぁ…」



具現化…?
なんで、そんなことを簡単に納得するわけ?
そりゃあ、「ゲームソフトがほしい」って願いが叶ったって程度の話ならわかるよ。
そういう具現化ならあると思う。
直接的じゃないけど、誰かがその思いを察知してプレゼントしてくれるってことは考えられるよね。
でも、シュウの場合、あまりにも直接的な具現化だ。
実体のないものが実体を持ってしまったんだから。
ファンタジーの世界の「魔法」以外、そんなことありえない!
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