赤い流れ星
「何笑ってんだよ!」

「だって……シュウ、今の仕草、昭和だよ!」

「なんだよ。
昭和のどこが悪い!
こんな俺にしたのはおまえなんだぞ!」

「なにも悪いなんて言ってないってば。」

口調は怒ってるんだけど、シュウの顔は怒ってなかったから心配はなかったけど、やっぱり年齢差をちょっとは気にしてるのかな?
私は全然気にしてないんだけど……



「なぁ、ひかり……」

低い声で呟くようにそう言うと、シュウがちょっと意地悪な視線を私に向けた。



「な、何?」

「……俺がいないと、そんなに寂しかった?」



も、もうっ!
何を訊くのかと思えば、そんなこと、わざわざ…



「ま…まぁね……」

シュウは、私を見て呆れたように笑った。



「な、なによ!」

「だって……真っ赤だもん。」



あぁ~!ムカつく!
そんなこと、言われなくてもわかってるっつーの。
こんなに顔が熱いんだもん。
私がすぐに赤くなることを知ってて…本当に意地悪なんだから!



「あの時…ものすごく泣いてたよな。
俺がいないと、あんなに寂しいんだ。」

シュウは私の顔を見て、にやにやしている。



「ち、違うもん!
あの…あの日は、バイトでミスしてしまって、そ、それで……」

「ふぅ~ん、そうなんだ。
……じゃ、俺がいなくても、ひかりは全然寂しくないんだ。」

「ぜ、全然ってことはないよ。
そりゃあ、いつもいる人がいなくなったら、少しは……」

「少しだけ…?」

シュウの鋭い視線が私を追い詰める。
あぁぁ、失敗した!
あんな目で見られたら…
もっと、平凡な顔に設定しとくべきだった…!
って、そんなことを今更悔やんでも何がどうなるわけではなく……



「すごく寂しかったに決まってるでしょ!」

私はそう叫んでシュウから顔を背けた。



「それって……いつもいる者がいなくなったから、寂しかったのか?」

「……それもあるけど…」

「他にもある?」



わかってるくせに……
それは、私がシュウのことが好きだからってことはわかってるくせに……
……でも、わかっててもあえて聞きたい言葉ってあるよね。
考えてみたら、私達、一応恋人同士の筈……
なのに、そういうこと、あんまり言わないよね。
「好き」とか「愛してる」とか……
それは、きっと、私がこんなだから……
そういうことに慣れてないから、シュウも言いにくいんだ。
あ…そうか、だから、シュウはわざと言わせようとしてるのかな?
シュウも本当はもっとラブラブしたいんだろうなぁ……
私のことを大好きにさせたのは、私だもんな……




「ひかり…聞いてるんだけど……」

シュウのツッコミが入り、私は思いきってぶちまけた。
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