赤い流れ星
side ひかり




今朝はやっぱりちょっと気まずかったけど、シュウはいつもと変わらなかったから、私もなるべく気にしていないふりをして家を出た。
兄さんは昨夜はやっぱり帰って来なかった。
どこまで行ったのかはわからないけど、きっと、シュウのことを調べてるんだと思う。
家でも毎晩遅くまでパソコンをいじってたけど、何を調べてたのか詳しいことはわからない。



仕事中にもふと昨夜のことが思い出されて、私は顔が熱くなるのを感じた。
ちょうど、一人で作業してた時だから良かったようなものの…思い出しただけでも、本当に恥ずかしい。



(こんな調子で、私とシュウはうまくいくのかな…?)



そんな不安を頭から払い除けるようにして、私は作業に没頭した。







「本当?
それじゃあ、兄さん……」

「だから言ってるだろ!?
100%信じたわけじゃないんだからな!
ただ、今のところは……」

「ありがとう!兄さん!」

兄さんは私が先にそう言ったせいか、言いかけた言葉を飲みこんで、苦笑いを浮かべた。

バイトが終わって家に戻ると、兄さんが帰って来てて、シュウについての調査結果を教えてくれた。
まだシュウは完全なシロと決まったわけではないとは言ったけど、兄さんが私の言ったことを信じてくれてるのはその様子から感じられる。



「これからのこともぼちぼち考えなくちゃいけないな。
……どうしたもんかな……」

兄さんは何かを考えているようだった。
きっと、それは自分のことではなく、シュウのことだと思う。
もしかしたら、シュウの戸籍をなんとかしてくれようとしてるのか?
私にはその方法は見付けられなかったけど、兄さんだったらなんとかしてくれるかもしれない。
なんとかなれば…父さんや母さんにもシュウのことを紹介出来るし…そしたら、結婚も…



(け…結婚…!?)


ふと思い浮かんだ妄想に、私の顔はまた熱くなった。



「……あれ?美幸どうした?
顔が赤いぞ…」

「べ、別に赤くなんか…」

「昨夜のことでも思い出したか?」

「ゆ、昨夜の…?」



って、兄さん…まさか、昨夜のことを知ってるの!?
咄嗟にシュウを見ると、シュウは決まりの悪そうな顔をして小さく肩をすくめた。



シュウ…あんた、兄さんに何を言ったんですか!
あほ!馬鹿!おたんこなす!

私は、心の中でシュウを罵りながら、ありったけの眼力をこめて睨み付けた。
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