赤い流れ星




兄さんと話をして以来、私達は少し親しさを増したような気がしてた。
おかげで三人の共同生活はとても順調で……
私は仕事にも慣れてきたし、なにかが一つうまくいくと、その流れで全部が良い方に流れて行くような…そんな日々を過ごしていた。

兄さんは本当は雑誌社の専属カメラマンになるつもりだったみたいなのだけど、なんとか自分で起業しようと考え始めたみたいで……
多分、それはシュウのことを思ってのことだと思う。
きっと、兄さんがシュウのために仕事を与えてくれようとしてるんだ。
そのことで、兄さんはこのところとても忙しくいてて、家を空けることも度々あった。
でも……シュウと私の間はあれ以来、何もない。
とてもうまくはいってるのだけど、全く進展はしていないことが私は少し心配でもあり、かといって進むのも不安だから、最近では兄さんが家にいてくれた方が良いと思うようになっていた。



そんなある日、事件は起こった。



(えっ!?)

私は夕方の休憩時間に携帯を見て青ざめた。



「出来れば、今日は早めに帰って来てくれ。
お母さんが来られてる。」



シュウからのメールが届いた時間は、三十分程前。
仕事は、あと一時間ちょっとあったけど、母さんが来てると知ったら、戻らないわけにはいかない。
私は、店長さんに早退をお願いして、タクシーで家に戻った。

タクシーに乗ってる間も私は駆け出したい気持ちでいっぱいだった。
なんで、急に母さんが……
最近は確かに前より電話の回数は多かったけど、特別変わった様子でもなかったし、私も兄さんもうまく答えてたはずなのに……

しかも、たまたま兄さんがいない時に来るなんて、なんて間の悪い…!
シュウは大丈夫だろうか?
家にシュウしかいないことで母さんはもちろん驚いたと思うし、シュウにいろんなことを訪ねた筈。
なんて答えただろう?
兄さんの友達で、今、たまたま遊びに来てるみたいにうまく答えててくれれば良いんだけど……
それに、私がいない理由も、尋ねられてるはず。
バイトしてること…バレちゃったかなぁ……

家に着くまでに、私の頭の中はパンクしそうなくらいの不安でいっぱいになっていた。
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