赤い流れ星
(もしかして、兄さん?)
私の胸は高鳴った。
母さんもその音に気付いたらしく、玄関の方をのぞきこむ。
それからすぐに戸を叩く音と同時に聞き慣れた声が聞こえた。
「美幸、俺だ。
開けてくれ。」
「は、はい!」
私は立ち上がり玄関に走った。
「今日は思ったより遅くなってさ。」
戸を開けるなり、兄さんがそう言い、私の耳元に囁いた。
(良いか、母さんには俺に連絡したことは言うな。)
兄さんが何を考えてるのかはわからなかったけど、私は小さく頷いた。
「珍しいな、まだ起きて……
あれ?母さんじゃないか!
来てたのか!」
兄さんは、居間に座る母さんの姿を見て驚いたふりをした。
「来てたのじゃないわよ!
あんた…美幸が男と暮らしていることを知っていながら……
よくも母さんを騙してくれたわね!」
兄さんは、ゆっくりと荷物を置きながら、苦笑いを浮かべた。
「母さんに言ったら、そんな風に頭ごなしに怒るだろうと思ったから言わなかっただけだよ。」
「当たり前でしょ!
まだ未成年の娘が男と住んでることを知って、なんとも思わない親はいないわ!」
「……母さんは美幸の年には俺を生んでたんだろ?」
「か…和彦!
それは一体どういう意味なの!?
私をふしだらだというの?
そんな私には美幸に何も言う資格はないとでも言いたいの!?」
「そう喧嘩腰にならないでよ。
……美幸、すまないけど、お茶を淹れてくれるか?」
「は、はい。」
私は兄さんにお茶を淹れながら、兄さんの話に耳をそばだてた。
「美幸とシュウは母さんが思ってるような関係じゃない。
それに、シュウも母さんが考えてるような男じゃない。」
「あなた、まるであの男と親しいような口ぶりね。」
「親しいさ。
あいつは、元々俺の友達なんだから。」
思い掛けないその言葉に、私はますます兄さんが何をしようとしているのかわからなくなった。
「嘘おっしゃい。
あなたは、イギリスにいたんだし、昔の友達にあんな男はいなかったはずよ!」
「母さん…俺の友達のことをどれだけ知ってるっていうの?」
その言葉は感情的な母さんの言葉とは裏腹に、やけに静かで…どこか冷たかった。
私の胸は高鳴った。
母さんもその音に気付いたらしく、玄関の方をのぞきこむ。
それからすぐに戸を叩く音と同時に聞き慣れた声が聞こえた。
「美幸、俺だ。
開けてくれ。」
「は、はい!」
私は立ち上がり玄関に走った。
「今日は思ったより遅くなってさ。」
戸を開けるなり、兄さんがそう言い、私の耳元に囁いた。
(良いか、母さんには俺に連絡したことは言うな。)
兄さんが何を考えてるのかはわからなかったけど、私は小さく頷いた。
「珍しいな、まだ起きて……
あれ?母さんじゃないか!
来てたのか!」
兄さんは、居間に座る母さんの姿を見て驚いたふりをした。
「来てたのじゃないわよ!
あんた…美幸が男と暮らしていることを知っていながら……
よくも母さんを騙してくれたわね!」
兄さんは、ゆっくりと荷物を置きながら、苦笑いを浮かべた。
「母さんに言ったら、そんな風に頭ごなしに怒るだろうと思ったから言わなかっただけだよ。」
「当たり前でしょ!
まだ未成年の娘が男と住んでることを知って、なんとも思わない親はいないわ!」
「……母さんは美幸の年には俺を生んでたんだろ?」
「か…和彦!
それは一体どういう意味なの!?
私をふしだらだというの?
そんな私には美幸に何も言う資格はないとでも言いたいの!?」
「そう喧嘩腰にならないでよ。
……美幸、すまないけど、お茶を淹れてくれるか?」
「は、はい。」
私は兄さんにお茶を淹れながら、兄さんの話に耳をそばだてた。
「美幸とシュウは母さんが思ってるような関係じゃない。
それに、シュウも母さんが考えてるような男じゃない。」
「あなた、まるであの男と親しいような口ぶりね。」
「親しいさ。
あいつは、元々俺の友達なんだから。」
思い掛けないその言葉に、私はますます兄さんが何をしようとしているのかわからなくなった。
「嘘おっしゃい。
あなたは、イギリスにいたんだし、昔の友達にあんな男はいなかったはずよ!」
「母さん…俺の友達のことをどれだけ知ってるっていうの?」
その言葉は感情的な母さんの言葉とは裏腹に、やけに静かで…どこか冷たかった。