赤い流れ星
「ひかり…大変だったな……」
シュウには兄さんからもう連絡が行ってて、私のことをとても心配そうな顔で出迎えてくれた。
「うん…ちょっとね。
でも、今度こそ、母さんは帰ったみたい。
……ま、来週にはまた来るみたいだけど、あ、シュウは何も心配しなくて良いんだよ。
なんたって、私達には頼もしい兄さんがついてるんだから!」
私は無理に明るい声を出してそう言った。
シュウは複雑な顔をして、それにそっと頷いた。
その日の夕食後、私達は今後のことについて話し合った。
来週ったって、父さんと来るとしたらきっと連休の時だと思うし、そうなるとあと五日しかない。
「とにかくここにはもういられない。
母さん達がおまえ達のことを許す筈はないんだから、逃げるしかない。
おまえ達には家を用意するから、そこで二人で暮らすんだ。
どういうところが良い?
あんまり都会だと家賃が大変だから、ほどほどの所にしてくれよ。」
「えっ!兄さんは一緒に暮らさないの?」
私の口からは咄嗟にそんな言葉が出たけど、実際にはそうじゃなくて……
「俺は働かなきゃならないから都会にいなきゃならないし、俺が一緒だと住民票やいろんなことからみつかる可能性があるから、離れて暮らそう。
本当は、俺が何か新しく仕事を始めてシュウにそこを手伝ってもらおうと思ってたんだが、そうもいかなくなった。
やっぱり当初の予定通り、俺はしばらく雑誌社でカメラマンの仕事を続けるよ。」
兄さんの言葉に、私はちょっとびっくりした。
許してもらえないとは思ってたけど、とりあえずは母さん達と話しあうものだと思っていたから。
「いきなりそんな行動に出て大丈夫なんですか?」
シュウも私と同じ想いだったらしく、戸惑ったような顔を兄さんに向けた。
「母さんは、美幸が家に戻ればシュウをここに置いてても良いと言った。
でも、そんなのは嘘だ。
母さんは、絶対にシュウの身元を調べようとするだろうし、どう調べてもみつからなければやはり最後は警察に言うと思うんだ。
それだけはなんとしても避けないといけない。
だったら、もう端から逃げた方が良い。
生活のことは俺が責任を持って面倒をみるから心配するな。
みつかることもあるかもしれないが、その度に逃げれば良いさ。」
兄さんは呆れる程あっさりと、そんなことを言った。
いいかげんに聞こえる言葉だけど、兄さんはいつもいろんなことを考えてる。
思い付きでそんなことを言ってるのではないのは確かだ。
実際の所、どんなに考えた所で、シュウを守るにはきっとそれしかないんだと思う。
でも、それは両親と縁を切るということに等しいことで……
兄さんはやっと、私にそうさせる決心が着いたんだと思った。
シュウには兄さんからもう連絡が行ってて、私のことをとても心配そうな顔で出迎えてくれた。
「うん…ちょっとね。
でも、今度こそ、母さんは帰ったみたい。
……ま、来週にはまた来るみたいだけど、あ、シュウは何も心配しなくて良いんだよ。
なんたって、私達には頼もしい兄さんがついてるんだから!」
私は無理に明るい声を出してそう言った。
シュウは複雑な顔をして、それにそっと頷いた。
その日の夕食後、私達は今後のことについて話し合った。
来週ったって、父さんと来るとしたらきっと連休の時だと思うし、そうなるとあと五日しかない。
「とにかくここにはもういられない。
母さん達がおまえ達のことを許す筈はないんだから、逃げるしかない。
おまえ達には家を用意するから、そこで二人で暮らすんだ。
どういうところが良い?
あんまり都会だと家賃が大変だから、ほどほどの所にしてくれよ。」
「えっ!兄さんは一緒に暮らさないの?」
私の口からは咄嗟にそんな言葉が出たけど、実際にはそうじゃなくて……
「俺は働かなきゃならないから都会にいなきゃならないし、俺が一緒だと住民票やいろんなことからみつかる可能性があるから、離れて暮らそう。
本当は、俺が何か新しく仕事を始めてシュウにそこを手伝ってもらおうと思ってたんだが、そうもいかなくなった。
やっぱり当初の予定通り、俺はしばらく雑誌社でカメラマンの仕事を続けるよ。」
兄さんの言葉に、私はちょっとびっくりした。
許してもらえないとは思ってたけど、とりあえずは母さん達と話しあうものだと思っていたから。
「いきなりそんな行動に出て大丈夫なんですか?」
シュウも私と同じ想いだったらしく、戸惑ったような顔を兄さんに向けた。
「母さんは、美幸が家に戻ればシュウをここに置いてても良いと言った。
でも、そんなのは嘘だ。
母さんは、絶対にシュウの身元を調べようとするだろうし、どう調べてもみつからなければやはり最後は警察に言うと思うんだ。
それだけはなんとしても避けないといけない。
だったら、もう端から逃げた方が良い。
生活のことは俺が責任を持って面倒をみるから心配するな。
みつかることもあるかもしれないが、その度に逃げれば良いさ。」
兄さんは呆れる程あっさりと、そんなことを言った。
いいかげんに聞こえる言葉だけど、兄さんはいつもいろんなことを考えてる。
思い付きでそんなことを言ってるのではないのは確かだ。
実際の所、どんなに考えた所で、シュウを守るにはきっとそれしかないんだと思う。
でも、それは両親と縁を切るということに等しいことで……
兄さんはやっと、私にそうさせる決心が着いたんだと思った。