赤い流れ星
シュウは、てきぱきと掃除をこなし、さらに、押し入れから布団を取り出しそのまま庭へ出て行った。



「雑草だらけじゃないか!」

戻って来るなり、シュウの怒声が飛んだ。



「あ…あぁ…そうだったっけ?
あんまり、外出ないから…」

私はへらへらと笑って誤魔化そうとしたのだけど、シュウの吊り上がった目は私を刺すように睨んでて…



「……えっと…
私、草むしりしてこようかな…」

そう言った途端、シュウの表情がやわらいだものに変わり、そのまま大きく頷いた。



「よし!その代わり、昼飯にはひかりの大好きなオムライス作ってやるからな!」

「えっ!オムライス!?」

そんなことでやる気になってしまう自分が切なかったけど、でも、最近じゃ母さんが来てくれた時か、町に買い物に出た時くらいにしか食べられない貴重なメニューで…
だって、自分じゃ作れないんだもん。
それにしても、オムライスが私の大好物だと知ってるあたり…やっぱり、このシュウは私の作ったシュウなんだ!?
それは不思議な感覚だけど、なんだかくすぐったくなるような嬉しさもあり……

私は、大好きなオムライスを頭に描き、軍手をはめて意気揚揚と庭へ向かった。



(……マジですか…)



久し振りにしみじみと見た庭の風景は、私の知ってるものとは違ってた。
そうだ…最初に来た時もこんな状態だったんだ。
それを父さんと母さんが一日がかりで綺麗にしてくれて……
この前、来た時も父さんは気になってたみたいだけど、時間がなかったから片付ける暇がなくて……
私は洗濯物も面倒だから外には干してないから、庭がこんなことになってるなんて気付いてもいなかった。
これを一人で全部むしるのかと思ったら、眩暈がしそうな気分だったけど、ちゃんとやらないとまたシュウに怒られそうだし、オムライスも作ってもらえない。




(よし!頑張るぞ!)



無理やり自分にそう言い聞かせた私は、気合いを入れて、我が物顔でのさばっている雑草の海に飛びこんだ。
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