赤い流れ星
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「ひかり…ごめんな……
俺……戻らなきゃ、ならないんだ。」

「シュウ…それってどういうこと?
戻るって、どこに戻るの?」

「ひかり…こんなこと急には信じられないかもしれないけど……
俺、実はこの世界の人間じゃないんだ。」

「この世界の人間じゃない?
シュウ、何言ってるの…?」

ひかりにはシュウの言うことがすぐには信じられず、戸惑ったように小さく笑った。
だけど、シュウの表情は真剣そのもので、シュウが冗談で言っているのではないことをひかりは感じ取った。



「シュウ、どういうことなの?
はっきり教えて!」

シュウはひかりに困ったような顔を向け、そしてゆっくりと話し始めた。



「実は…俺は違う世界から来たんだ。」

「何なのそれ?
違う世界ってどういうこと?
もっと詳しく教えてよ!」

「多分、この世界の人間には想像もつかないような世界だ。
そこは本当に自由な世界で…なんだって出来る夢みたいな世界なんだ。
そうはいっても、それなりの規則みたいなものはあるんだけどそれでもこっちの世界とは比べ物にはならない。
俺は、ある時、賢者と呼ばれる人と知り合って、その人に俺が住む世界以外にも違う世界がたくさんあることを聞いた。
俺の暮らす世界は何一つ不自由はなかったけど、そうじゃない世界がほとんどだってことを聞いたんだ。
俺はそれからずっと異世界のことが気になってて…そのせいか、異世界に続く門をみつけてしまったんだ。
だけど、それがどんな世界に繋がってるかはわからなかったし、門を起動させるにはとても大きな力が必要で賢者の力を使っても短い時間しか開けないということがわかった。
俺はとにかく違う世界に興味があったから、行き着く先がどんな世界であっても…たとえ少しの間でも行ってみたいと思ったんだ。」

「う、嘘…そんなことありえない…!」

シュウはひかりの言葉に哀しそうに顔を振った。



「嘘じゃない。
本当のことなんだ。
そして、その門は今にも閉じようとしてる。
だから…もう帰らなきゃ…」

「そんな!酷いよ!
私は…シュウのことがこんなに好きになっちゃったのに、私を置いてさっさと帰るなんて酷いよ!」

「俺だって戻りたくないさ。せっかくこうしてひかりと両想いになれたのに……
……だけど、どうしようもないんだ。」

「やだ!そんなの絶対にやだよ!」

ひかりは涙混じりにシュウに向かって大きな声で叫んだ。
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