赤い流れ星
「あ、私、食器洗って来ようっと…」

「そんな急がなくても…」

シュウは、オムライスを頬張りながらそう言ったけど、私は空のお皿を持って立ち上がった。
あぁ~…まだどきどきしてる…



お皿を洗いながら、私はふと思った。
私は、オムライスが作れないのにオムライスを食べた。
冷蔵庫を開けてみると、確かにたまごや鶏肉が少なくなってる。
そうだ…私はオムライスが作れないだけでなく、ついさっきまで庭で草むしりをしてたんだから、時間的にも出来る筈はない。
だから、シュウが幻じゃないってことは現実なんだ…

自分でも疑り深いと思ったけど、事が事だけに、やっぱり慎重に考えないといけないと思った。
シュウが現実に存在してるという確証を掴む事が、まずは大前提。
とりあえず、それはもうクリアだよね…

そう思った時、残り少なくなった食器洗い洗剤が目に停まった。



(そうだ…!)



私は、確たる証明を得るために、シュウの所に戻った。



「シュウ、お願いがあるんだけど…」

「なに?
やっぱりまだ足りない?」

「そうじゃないって!
……あのね、食器洗いの洗剤が少なくなってるんだ。
それを買ってきてほしいの。
自転車で十分程行った所に、山下商店っていうなんでも屋さんみたいなのがあるんだ。
とにかく一本道だから迷う事はないと思う。」

「それは良いけど…なんで自分で行かないんだ?」

「わ、私は…ほ、ほら、むしった草の片付けとか、どうせだから表の草もむしってしまいたいし…」

「おっ!やる気出てるじゃないか…
それは良いことだ!
よし!じゃあ、俺、今から行って来るよ。
あ、お皿は…」

「それは私が洗っとくから!
じゃあ、お願いね!」



私は、シュウにお金を渡して、玄関先まで見送った。
散歩がてら、このあたりを見て歩きたいからと、シュウは自転車には乗らず、歩いて出掛けた。
山下商店までは歩くと多分20分はかかるはずだから往復40分か。
私は柱時計で今の時間を確かめる。
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