赤い流れ星
そして、まずは残り少なくなった洗剤を携帯で撮影し、続いて庭の様子と玄関まわりを撮影。
撮った画像にはちゃんと時間が記録されている。
つまり、私が今から庭の草の片付けや表の草むしりをしていたら、外には出ていけない。
なのに、新しい食器洗い洗剤が家にあれば、それは私じゃない誰かが山下商店に買いに行ったということで……
あぁ、私って思った以上に疑り深くて理屈っぽい性格だったんだな。
でも、それではっきりするんだから!
シュウの存在が現実のものだってわかるんだから!



(うん、なんでも確認は大切だよ!)




私は、まず、さっきむしった大量の草をまとめてビニール袋に入れ、裏の畑に運んだ。
このあたりはゴミの収集がないから、こういうものは自分で焼いて処理するしかない。
ふと見ると、草をひいた庭は、信じられない程、広く綺麗になった。
ここに花でも植えて、テーブルと椅子なんて置いたら、すごく素敵な庭になりそう……
ふと頭に浮かんだ妄想の中で、私は白いパラソル付きのテーブルにシュウと差し向かいに座ってた。
シュウは、ジュースを飲みながら庭の花を眺めてる…



(……あ……そうだ!
妄想に浸ってる場合じゃない!)



私は、綺麗になった庭を撮影する。
そうだ、セルフタイマーにして自分も一緒に映せば、ますますはっきりとした証拠になると思ったけど、セルフタイマーの仕方がわからない。
そこまですることはないと諦めたのは、方法を調べるのが面倒臭かったから。



(次は、表だ!)




玄関周りはさすがにそれほど酷いことにはなってなかった。
でも、ちょっと出た塀の周りにはやっぱり雑草がはびこっていて…
今まで気にもならなかったそんなものが、なぜだが急に気になって、私はそれらをむしって回った。
そういえば、昔、まだ私が小さい頃ここに来た時は、こんなもの全くなかった。
あれは、おばあちゃんがこまめに草むしりをしていたからなんだなぁと考えると、なんだかちょっと切ない気持ちになった。
……あの頃の私は、本当に何も考えてなかったんだなぁ…って。
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