赤い流れ星




「おいしい!」

夕飯のピラフはいつもの冷凍ピラフと同じ物だとは思えない程おいしかった。
いつもの味も十分おいしいと思ってたんだけど、さらに一段、格が上がったって感じがする。
そして、なにより驚きだったのは、私の苦手ななすがちっとも気にならなかったこと。



「別にいやじゃないだろ?なす…」

「えっ!?」

まるで心の中を見透かされたようなタイミングでそんなことを言われてしまい、私は思わずごはんを噴き出しそうになってしまった。



「なに慌ててんだよ、さ、水飲んで…」

むせた私を一応気遣ってはくれるんだ…




「きっと、思い込みみたいなもんだと思う。
これからはきっと平気だ。」



……え…それって……



「シュ…シュウ、私がなす嫌いだって知ってたの?」

「そりゃあわかるさ。
洗剤を買いに行った帰りに畑ものぞいたんだけどさ、どの野菜も採った形跡があるのに、なすだけしなびてぶらさがってるんだもん。」

シュウはそう言うとおかしそうに笑った。



あ…そういえば、私はなすを採ってない!
ってことは、私がなすを嫌いだって気付いたシュウが、こっそりとなすを採って来て隠してたってこと!?

悔しい!
なんていやな性格してるんだ!



……ん?待てよ…
でも、シュウは私のオリキャラで……つまり、シュウの設定を作ったのは私で……
……え!?じゃあ、シユウがこんな性格なのは私のせいってこと!?



そんなことを考えると、私はなんだががっくりと気落ちした。
自分がしたことなら、怒りのぶつけようがないじゃない!?
まさに、オーマイガーな気分だ!




「ひかり、早く食べないと冷めるよ。」

「あ……う、うん。」

そうだ、せっかくの料理が冷めちゃもったいない。
とりあえず今はしっかり食べて、後でゆっくり考えよう…
……と、そんな風に考えてしまう自分自身に、私はまたがっかりした…

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