赤い流れ星




(どうしたんだろう…)



あたりに明かりが灯り始めてもシュウは戻らず、私の心配はどんどん大きくなって行った。
きっと3時のバスに乗り遅れたんだと思う。
だとしたら、まだ戻っては来ない筈だし、そわそわしても仕方ないとわかりつつ、それでもやっぱり気になった。
掃除がすんでほっとしたら無性にお腹がすいて来て…私はカップ麺を食べたけど、シュウもきっとおなかすいてる筈だ。
お昼は、どこかでなにか食べたと思うけど、それからもう何時間も経ってるしきっと帰って来たらすぐにごはんが食べたいだろうと思う。
でも、私にはろくなものが作れない。
せめて、お味噌汁だけでも…いや、やっぱり無理だ。
まさか、ごはんと味噌汁だけってわけにもいかないもんね。
でも、ぼーっとしてるのも落ち付かないし、何か出来ることはないかと考えていた所……




「ただいまー」

がらがらという戸を空ける音と共に聞こえたのは、シュウの声だった。



「シュウ!遅かったじゃない!
どうしたの?なにかあった?」

「あぁ……バスに乗り遅れて……」

「やっぱり……ごめんね。
本数が少ないこと、言うの忘れてて…」

「いや、そんなこと、考えてみればすぐにわかることなのに…うかつだった。
しかも、あとちょっとって所でバスのお尻を見送ることになったからなぁ…
その後、時刻表見て驚いたよ。」

そんなことを話しながら部屋の中に上がったシュウは、大きなレジ袋をいくつも持っていた。



「……なに、これ?」

「これ?……あ、その前に…炊飯器のスイッチ入れてくれた?」

「え?……入れてないけど…」

シュウは小さく舌打ちをして台所へ直行した。



「気付いてくれるように念じてたんだけど、俺の念は届かなかったか……
ま、仕方ないな。」

そう言って、シュウは炊飯器にスイッチを入れるため台所に行って、レジ袋の中から買って来た物をテーブルの上に広げて仕分けて行く。



「シュウ…それ…」

「調味料とかあまりにもなさすぎだろ?
だから、気が付いたものとあと肉や魚買っといた。
冷凍しとけばしばらく持つし…」

「でも、シュウの下着は?」

「買ったよ。」

そう言いながらシュウが取り出したパンツから私は目を逸らし……
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