赤い流れ星




「じゃあ、夕方には帰るから……
行って来るね!」

「わかった。気を付けてな!」

それから数日後、私の大好きなキャラのあのジャージを着たシュウに見送られ、私は自転車に乗って家を出た。
ちょっと抵抗はあったみたいだけど、シュウはあのジャージを着てくれた。
私には松の廊下のようになってしまったズボンの丈もぴったりで、上の方も袖の長さはぴったりだけど、身幅は私が着るよりもゆとりがある。
あぁ…ダイエットしなきゃ…と痛感した瞬間だった。
それにしても、町に行くだけなのに見送ってもらえるなんて、なんだかとっても幸せな気分。



今朝もまた私はシュウに起こされたのだけど、綺麗になってる部屋を見て、シュウはよく頑張ったと誉めてくれた。
子供みたいだけど、誉めてもらうっていうのはやっぱり気持ちの良いことだ。
そんなわけで、私は、朝からとっても良い気分で家を出ることが出来た。

本当は町に行くのがちょっとだけいやだった。
携帯の契約ってなんか緊張するし面倒だし…
でも、ま、必要な書類は送ってもらったし、なんといってもシュウのためだもん。
頑張らなくちゃ。



町に着いて携帯ショップに直行した私は、価格やら機能やらデザインやら、あれこれ迷いながら、自分では絶対に買わないであろう黒いクールな雰囲気の携帯を選んだ。
昨年出た機種だけど、もちろんそれなりの機能は付いてる。
いろいろと必要なことを書き入れて、それから設定かなにかしてもらうためにしばらく待って…
ようやく携帯を手渡された時は本当にほっとした。
私は、シュウの喜ぶ顔を頭に思い浮かべながらショップを後にした。
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