赤い流れ星




(あぁ、おいしかった…!)

入ってたおかずはどれもとっても美味しくて…
中にはなんだかわからないけど私が今までに食べたことがないようなものもあった。
こんなことを言っては申し訳ないけど、母さんの料理よりももっと美味しい!
それになんたってキャラ弁だもの。
きっと、あのジャージを見て、私があのキャラが好きだってわかったんだろうけど…
それを早速お弁当に取り入れてくれるなんて…



あぁ…なんだか私にも人生が薔薇色に見えるような気がして来た…



にやついてては周りの人におかしいと思われる。
私は、必死でなんでもない顔を取り繕った。
バスの時間まではまだずいぶんあったから、またお店をうろうろしたけど、いつもなら飛び付いてしまう漫画本にもいつもみたいに興味がわかなくて……

時間ってなにかに集中していればあっという間にすぎてしまうのに、そうでないとなかなか過ぎてくれない。
今頃、シュウは家で何してるんだろ…?
あぁ、早く家に帰りたい…



(そうだ…!)



恋する乙女と化した私の頭に、突如、稲妻のように無謀な考えがひらめいた。
そう…シュウの真似をして、歩いて帰るってこと。
歩いたら二時間もあれば帰れるってシュウは言ってた。
私はシュウより歩くの遅いけど、それでも倍もかかることはないはずだ。
ということは、今から出たらバスで帰るより早く帰れるし、お金も浮くし、それに…歩いて帰って来たなんて言ったら、シュウはきっと驚くよね!

そう思うと、わくわくして、これから歩く長い道程のことも、方向感覚が悪いことも全然不安じゃなくなった。
早速…と思ったけど、一応、百均に行って、コーラとパンと飴を買った。
きっと、二時間半はかかるだろうから。
途中には、お店らしきものもめったにないし、タクシーなんてものも通らないから念のため。
そうだ…何か珍しいものがあったら、画像を撮ってブログのネタにしよう!
ミニ冒険みたいな内容で、ここから家に帰るまでのことを書いたらけっこう面白いかも…!

そんなことを考えながら、にやけ顔の私は初めての道を元気に歩き始めた。
< 42 / 171 >

この作品をシェア

pagetop