赤い流れ星
(やっぱりこのあたりは家が多いなぁ…)



……とはいっても、それはうちの近所と比べると…ってこと。
もちろん、実家とは比べ物にはならない。
うちの近所では人とすれ違うことさえ滅多にないから、向こう側から人が来たらつい下を向いてしまう。
擦れ違うったって、別に肌がふれる程近くに来る訳でもなんでもないのに…でも、やっぱり苦手で…目が合って話し掛けられたらいやだななんて思ってしまって……

なんとなく視線を感じる……
私がこのあたりの者じゃないことはすぐにわかるから、見てるんじゃないかなぁ…?
まぁ、仕方ないことだけど…
私はあえてその視線に気付かないふりして歩き続けた。

しばらく歩くとまただんだんと家の数がまばらになって来て、いつしかあたりは畑ばかりになっていた。
畑仕事をしてる人はいるけど、道からは離れてるからさっき程、気にならない。

私ももうちょっと社交的っていうのか…
知らない人にも平気で話しかけられるような性格に生まれたかったなぁ…
そんな性格だったら、私はきっとこんな所に来てない…
あ…でも、そしたら、多分、携帯小説なんて書いてなかっただろうし、そしたら、シュウに会うこともなかったかもしれないね。
そんな風に考えると、なんでも簡単にこっちが良いとか悪いとか、得だとか損だとかは決められないような気もしてくる。
私も初めてこっちに来た時は、不便だし何もなさすぎてなんだか複雑な想いもしたけど、でも、慣れて来ると実家にいた頃より楽な面もけっこうあるってことに気が付いた。
いや、もちろん、この不便さはなんとかしてほしいと今でも思うけど、人が少ないせいか自然が多いせいなのか、それだけでも気持ちが解放されるっていうのかな…
私はやっぱり人付き合いで相当ストレス貯めてたんだなって気付いたし、環境が変わることで見えて来ることって確かにあるなと思ったよ。

この先、私がどうなるのかはわからないけど……
でも、ここへ来たことで得たものはきっとあると思う。



そんなとりとめのないことを考えながら、私は家への方向を目指して歩き続けた。


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