赤い流れ星
「シュ、シュウなの!?」

「……あれ?ひかり?」

「シュウ……」

シュウの声を聞いた途端、ほっとしたのか、私は胸が一杯になり、それ以上何も言えなくなった。



「ひかり?どうした?
何かあったのか?
この番号は?」

シュウが次々に投げ掛ける質問にも、声が詰まって答えられない。



「ひかり!どうしたんだ!?」

シュウも私の様子がおかしいことに気がついたらしく、その声は強張ったものに変わっていた。

早く答えなきゃ…
答えないと、シュウが心配する…



「わ、私…シュウの真似して…歩いて帰ろうとしたら、道に迷って…」

冗談混じりに言うつもりだったけど、それだけ話す間にも涙がこぼれて胸が詰まって息が苦しくなってしまった。



「……そうか。心配するな。
俺が今からすぐに迎えに行くから。大丈夫だからな。」



多分、シュウは私が泣いてることにも気付いたんだと思う。
だけど、そんなことは言わず、いつもより優しい声で話してくれた。



「ひかり、ゆっくりで良いから町からどんな風に歩いたか、話してくれ。
覚えてるだけで良いからな。」

「う…うん…」

私の涙はまだ止まらず…だけど、一生懸命に思い出しながら私は歩いて来た道のことを話した。



「よし、わかった。
今から出るから、ちょっとだけ待ってろ。
そうだ、ひかり、何か食べる物か飲み物はもってるか?」

「な、何も……あ、飴がある。」

「じゃあ、その飴をなめてろ。
甘い物は元気が出るから、な!
それと、寂しくなったら電話かけろよ。
それともこのまま繋いどく?」

「う、うん、大丈夫。」

「じゃ、俺からもかけるから心配すんなよ。
すぐ行くからな!」

「う…うん…」

私の気持ちがようやく落ち着いてきた頃、おかしな電子音が鳴り響いた。
携帯の充電が切れかかってる…!



「シュウ、充電がもたない…
どうしよう!?」

「大丈夫だ!
俺は、ひかりがどこにいるかわかってる。
なんなら隠れてても良いぞ。
どんなに隠れても、俺、すぐに見つけ出すから。」

「そんな…でも…ここは…」

「ひかり!俺を信じろ!」



その声を最後に携帯の充電は切れた。



「シュウ!」

一瞬明かりが灯ったかのように思えた心の中の灯がまた消えたような気がした。
ううん、そうじゃない……
シュウには連絡が付いたんだもん。
あんなに出ちゃだめだって言っといたのに、シュウは私の言うことをいつも聞かない。
前に、二階に上がらないでって言った時も上がって来た。
あの時はなかなか起きてこない私を心配してくれたからで……だから、きっと、今回もそうなんだ。
そう…シュウはいつも私のことを気にかけててくれる。



「ひかり!俺を信じろ!」

さっき聞いたその言葉が思い出されると、私の胸はじーんと熱くなった。
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