あなたに会いたいから
 幸一が家に帰ってきた。

 すぐに、私の部屋にむかって話かけてくる。

「まり、まり」

 何だろう?

 あせっている様子の幸一。

「どうしたんだろうね?」


「どうかしたの?」

 まどを開けながら聞いた。

 まさにその時。

 希が顔を出したのだ。

「やほー幸一君」

「希、いたのか」

「いたのかって、いたわよ」

「それより、なんかあったの?」

「まりのお母さんいるか?」


「ママなら、出かけたよ?」

「やっぱり、見間違いじゃあなかった」

「何一人で納得してるのよ」

 希が言う。


< 7 / 9 >

この作品をシェア

pagetop