君さえいれば
遠野はからかいの言葉に否定も肯定もしない。だから、あたしも否定も肯定もしない。遠野とのこんな距離がいい。




1学期が終わる頃にはすっかりクラスで公認になっていて遠野の隣にはあたしなんて勝手に決められるくらい。




「いいなぁ、美月は。彼氏がいて」




仲良くなった友達にそんなことを言われても付き合ってないよ、彼氏じゃないよなんて否定も肯定もしない。


だって、遠野がしないから。だからあたしがそれを否定したらこの関係が終わってしまいそう。




それに、あたしは遠野がすき。遠野も否定も肯定もしないってことはあたしのことすき？


でも、聞かない。否定も肯定もしない代わりに「好き」とも「付き合おう」とも言わない。



それがあたしたちの関係。
< 12 / 104 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop