君さえいれば
部屋の中にある一枚の写真。


可愛い柴犬の写真。あの夏休み、バイト先であたしはブチの訃報を聞いた。




おじさんのペンションでバイトをして3日目。初日は掃除。


昨日から少しずつおばさんの料理のお手伝いもさせてもらって遠野もおじさんに教わりながら薪割りをしていた。




「美月ちゃん、お義姉さんから電話よ」




仕事中は携帯を切っていたからお母さんがペンションに電話を掛けてきた。おばさんに代わってもらって出た電話。


お母さんが涙声で言った。




「美月・・・ブチが・・・」
< 17 / 104 >

この作品をシェア

pagetop