君さえいれば
遠野隼汰。遠間美月。並んで書いた名前。始めての日直。


まだ挨拶や軽い世間話しかしなかったけどこの日はあいつとあたしが近づくきっかけになったんだ。




「ちょっと、遠野あたしばっかに日誌書かさないで書いてよ」




「お前の代わりに黒板消してやっただろ?それにお前、字だけは綺麗なんだから日誌はお前が書けよ」




全く褒め言葉なんだから貶されてるんだかよくわからない。でも、字が綺麗っていうのは言われて嬉しいかも。



教室にはあたしと遠野だけ。


黙々と日誌を書くあたしのシャーペンの音と時計の針の音が響く。



日誌を書くことに夢中になっていたあたしは遠野が何をしているか知らなかった。
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