君さえいれば
ゴホゴホと咳払いをする安藤くん。今にも殴りかかりそうな遠野の手は返り血を浴びていた。


遠野がそっと安藤くんの上から下りると彼は逃げるように教室を去って行った。




見られた。キスされたところ。遠野の顔が見られなくてそっと背を向ける。ファーストキスだったのに。


思い出すと涙が滝のように溢れてきた。遠野はどう思ったのかな。




「・・・遠間、こっち向け」




「・・・嫌だよ」




「いいから向け」
< 40 / 104 >

この作品をシェア

pagetop