君さえいれば
「風邪引いたら看病してもらうわ。おかゆの炊き方ちゃんと勉強してろよな。じゃあ行って来る」




「うん。頑張ってね。行ってらっしゃい」




「あっ、ちょっとだけお前の力貸して」




バスに乗り込む前、振り向いた遠野はそっとリップ音を立ててあたしのおでこにキスを落とした。




「よしっ、なんか受かる気がしてきた。ありがとな」




「・・・バカ」




遠野を見送った後もずっとずっとそこから離れられなくてマフラーをキュッと握った。


バカ。ちゃんと受からなくちゃ許してあげないから。
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