君さえいれば
「ごめん、ごめんね遠野。ごめん、ごめんね」




遠野の背中に腕を回してギュッと抱きしめる。遠野の腕に負けないくらい気持ちを込めて。



久しぶりに見た遠野は一瞬であたしの心を奪うくらい大人でとてもかっこよくなっていた。スーツがよく似合ってる大人の遠野。




「会いたかった。忘れられなかった。ずっとずっと遠野だけが好きだった。遠野だけが大好きだったよ」




「バカ。俺が言いたかったこと、先に言いやがって。俺だってずっと好きだった。ずっと忘れられなかった。未練がましく美月だけが大好きだった」




「遠野・・・」




「あの日出来なかったことしてもいいか?」




「バカ。聞かないでって言ったでしょ?」
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