君さえいれば
あの日出来なかったこと。そんなの口に出すなんてやっぱり遠野は遠野だ。



あたしが目を瞑ると同時に降ってきた遠野からのキス。あっ、全然違う。甘い。




「・・・もう一回、いい?」




「だから、そんなこと聞かないで」




「バカ。聞かねえと止めらんなくなるから聞いてんの」




「だから、聞かなくても察してよ。止めなくていいの。遠野だから、いいの」




「バカ美月。もう知らねえ。止めてなんてやんねえから」




さっきのキスとは違う大人のキス。こんなの知ってるなんて遠野、ズルい。きっとこの先も全部知ってるんだ。
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