秘密戦隊とホームレス宇宙人
しかし、車が止まらないと、外しても地面に落ちて怪我してしまうな。


「止まってくれぇ!」

止まる気配はない。振り落とす気満々な走りだ。
しょうがない。信号で止まるまで待とう!


目の前の信号が黄色に変わった。

よし、赤だ!

車は、加速して、信号を無視して突破する。

おいおい!…今のは信号無視だろ?危険だよ、この運ちゃん。

俺がくっついてんだから安全運転してくれよ!

ん?俺がくっついてるから、荒い運転なのか…?



そのまま蛇行運転を続けたタクシーは、諦めたのか、駅前でようやく止まった。

ふぅ…。


俺は地に足を付け、急いでベルトを外した。



―カチャン

俺がベルトを外すと、なぜかベルトは車からも剥がれた。

…あんなに強力にくっついていたのに、なぜ?

そんな事を考えていると、降りてきた運転手が俺に言った。


「…はぁはぁ。あんだオメェ!あに考えてっだ?」

息を切らしている具合から、彼の中でも壮絶なカーチェイスをしていたんだろう。


「…取れましたんで、もう大丈夫です!」


俺は、すぐにそこを去ろうと思った。手に持っていたリュックも、ボロボロだ。

俺は、最後に捨て台詞を吐いて去ろうと思った。


「あ、もっと安全運転したほうがいいっすよ。人の命預かってんすから」


< 10 / 167 >

この作品をシェア

pagetop