秘密戦隊とホームレス宇宙人

“宇宙船”


桃子さんと涼平も、そう思っただろう。でも、あえて口には出さなかったんだと思う。

ハカセじゃないと、はっきりしたことはわからない。

でも、森の中に写っているのが、見たことのない銀色の球体だってことはわかる。


「なんだろう…?」

俺達はじっくり見たが、答えは出ない。


桃子さんが、恵さんにこう持ちかけた。


「私の知り合いに、こういうのに詳しい人がいるんで、ちょっとこの写真借りていいですか?」


「はい…」

詳しいというのは、きっとハカセのことだろう。


「涼平!コピーとってきて!」
と、桃子さんは写真と小銭を涼平に渡した。


「え、え?」
と、戸惑う涼平に桃子さんは、

「出て左にコンビニあったでしょ?ダッシュ!」
と言った。

「は、はい」


「あ、拡大コピーね!」
と、桃子さんは付け加えた。


涼平が出て行ってから、恵さんが心配そうにこう言った。

「あの子…変なことに巻き込まれてなければいいんだけど」

母の勘は、鋭い。
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