秘密戦隊とホームレス宇宙人
それから俺の死ぬほどきつい特訓が始まった。


何度吐いただろう。


朝から晩までモノを引っ張る特訓。


それが終わると桃子さんの晩酌の相手。


そして、時にはバイト。


唯一の楽しみだったバイトでの美沙ちゃんとの絡みも、


今じゃそれどころじゃなくなって、目の前にあることをこなすのに精一杯だった。


血を吐くようなスケジュールで、疲れを癒すのは、桃子さんと一緒に飲む酒だけだった。


今日も、桃子さんは仕事が休みで、俺と晩酌をしていた。



「クロには…頑張って欲しいからさ…」

頬を赤らめた桃子さんが、俺に小さめのデパートの袋を渡してきた。


「え…?何?」


「アタシと涼平で選んだんだよ」


「開けていい?」


「……一気してからね!」

桃子さんに促されるまま、ビールを一気に飲み干してから、包みを開けた。

中にはペンダントが入っていた。

ペンダントのトップには、盾にジャガーのような獣の顔が半分出ていて、その口には輪っかをくわえている。


「これ、トラ子みたいで可愛いでしょ…それに、チェーンはブラックにしたの」


「クロザイルだから?」

俺がそう訊くと、桃子さんは嬉しそうに頷いた。


「ありがとう!高かったでしょ?」


「ううん。アタシ達に出来るのは、クロちゃんの応援ぐらいだからさ…お守りだと思って付けて」


「うん…。ありがとう」

俺はペンダントを付けた。


「いいじゃん!似合ってるよ!」


桃子さんはお世辞がうまい。

ペンダントの方が目立ってて、俺の冴えない顔が負けてるのは知っている。

でも、お守りだから、それぐらい強力じゃないと、困るかなぁ。
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