秘密戦隊とホームレス宇宙人
「あのね、他にも安いキャバクラならあっから、そっちに行きなよ!」


「こ、ここじゃないとダメなんだ」

ハカセも必死に食い下がる。


「日雇いでもなんでもしてからうちの店に来たらいいじゃん!さぁ、帰った帰った」

ボーイはハカセを入り口まで押し戻した。


「ま、待ってくれ……30分…いや、15分でいいから!頼む…!」


ハカセはその場に土下座をした。


「困るよ~。おじさん…俺より歳いってんだからさぁ」

そう言うボーイのズボンの裾を、ハカセは必死に掴んでいた。


「顔、上げなよ」

ボーイに言われ、ハカセは顔を上げる。


「目当ての娘でもいるの?」


ボーイの問いに、ハカセは真っ直ぐな眼差しで答える。


「桃子って娘だ」


「桃子さんね…。15分なんて…ろくに喋れねーよ?」


「それでも構わん!頼む」


ハカセがそう言うと、ボーイはため息混じりで首を横に振った。


「……たったの15分間、くっちゃべってもつまんねーと思うからさ……30分いなよ」


「え…?」

ボーイの言葉にハカセは驚いた。

「いいのか?」


「ああ」


「鈴木さん…いいんですか?」

もう一人のボーイも驚いて訊いた。


「ああ。店長にはナイショな!じゃ、お客様、案内致します!」

そう言って背の高いボーイは、笑顔でハカセを席に案内した。

< 135 / 167 >

この作品をシェア

pagetop