秘密戦隊とホームレス宇宙人
「そいつとは今も連絡を取ってるのか?」

ハカセの問いに、桃子は首を振った。

「その人、私にベルトをくれた後は、一度も店に来なかったんです。それに、私もそのお店を辞めちゃって…連絡先も交換しない人だったから、知らないんです」

「そうか……。この話は、君の持っているベルトが別の惑星で作られたものだと仮定して、話す。聞いて欲しい」

桃子は頷き、ハカセの話になんとなく耳を傾けた。


ガウデスという惑星での出来事、そして地球までベルトを持って宇宙船でやってきたということ、そして敵に奪われたということ。


「私からベルトを奪ったそいつらは、いらないベルトだと判断して、君にプレゼントしたんだと思う」


「は…はぁ」


ハカセの言葉に桃子はなんとなく返した。



「……そのベルトは君だけのものではなく、みんなの平和を繋ぎとめるための、大事なものなんだ…。どうか、丁寧に扱って欲しい」


ハカセがそう話すと、時間が来てしまったらしく、ボーイがハカセの元へやってくる。


「お客様、ご延長はいかがなさいますか?」


「もう…時間か…?」


「はい…」

ハカセはポケットの中身を確認し、小銭がジャラジャラと鳴った。

「延長…は無理だな。帰る…」


「かしこまりました」


ハカセは延長したかったが、お金に余裕が無かった。


「桃子君…また、来るから…少し考えてくれると嬉しい」



ハカセがそう言うと、桃子は笑顔で会釈をした。

ハカセが店を出てから、ボーイの鈴木が桃子に話しかけた。


「大丈夫だった?さっきの客。この前のこともあったからさ」


「…うん、大丈夫。でも、なんか宇宙の話ばっかりして、ちょっとおかしいんじゃないかな?」


「そっか。たまに変な奴いるからね」


そんな会話がされていたことは、ハカセは知る由も無かった。




「よし、またお金を貯めて、彼女を説得しなければ……わしは…まだやれるぞ…!」


ハカセは夜道を歩きながらそう呟いた。


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