秘密戦隊とホームレス宇宙人
「逆に外した今日はどうだ?」


「今日…来るって言ってたお客さんがみんな来なくて…確かに売れてない」


「だろう!?それはベルトの効果がないからなんだ。ベルトを付けていれば、キミの客はいっぱい来て、今日もひっぱりだこだったはずだ」


「…」

思い当たる節があるのか、桃子は頷いた。


「付けてないキミが本来の姿なんだよ。ベルトを付けてないキミに、会いたいと思っている客は、もしかしたらいないのかもしれないな」


ハカセが皮肉そうにそう言ったときに、桃子はハカセを睨んだ。


「あ……いや、すまん。言い過ぎた」

ハカセはハッとして頭を下げた。

そしてすぐにボーイを呼ぶと、ビールを2つ注文した。


「この国の…ビールって飲み物は美味しいな」


ハカセはちょっと笑顔を見せながら、桃子と乾杯する。


「安いのしか頼めないけど、勘弁してくれ」


「いただきます…」


ビールはハカセなりのお詫びの気持ちということだった。



「…じゃあ、そのベルトがもしも本物だとして、周りの人がお金を落としていく機能が付いていたとして、地球に宇宙人が紛れ込んでて、私に魔法のベルトをくれたってこと…?」

桃子がハカセにそう訊ねた。


「ああ。そうだ。そうなんだ」


「そんなの…信じられるわけないでしょ。宇宙人の作ったベルト……これが?しかも付けただけで客が金を落としていくなんて…ありえない!」


「信じられないとは思う。ちょっと、試しにこのベルトを触りながら、念じてみてくれ」


ハカセがそう言ってベルトを桃子に渡した。


「な、何を念じるの?」


「何でもいい。例えば売り上げを上げたいとか」


桃子はベルトを握り、密かに売り上げが上がるように念じた。




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