秘密戦隊とホームレス宇宙人
それから幾日か経ったある日、ハカセは張を呼び出し、宇宙船が不時着した山に誘った。


「こんなところに、何がアルね?」


「張さん。これを見て欲しい」


ハカセがボロ切れを繋いだ大きな布を退かすと、三分の一以下になった銀色の宇宙船の残骸が出てきた。


「これは…いつも私にくれてる金属?」


「そうだ。しかし、今日はこの金属全てと、メインコンピューターを張さんにあげようと思うんだ」


「メインコンピューター?」

張が機体に近づき、バラバラになっているスイッチやパネルを見る。

「す、スゴイね。何の部品?」


「私の国で作られた新しい飛行機さ。この部品を日本の企業に売りに行くといい。壊れていてこのままでは使えないが、もしかしたら、技術力を高く買ってくれるかもしれない」

張は部品の細かい部分をじっと見つめた後でこう言った。

「深くは聞かないが…これ、すごいんだろ?」


「ああ。私の従兄弟が作ったんだが、すごいハイテクだ」


「売りに行くとして……でも、どこで手に入れたのか聞かれたらどうする?」


「山に落ちていたと言えばいいさ」


「俺に全て渡すということは、山を出るのか?」


「張さんはお見通しだな。街へ出ようと思う。今まで本当にお世話になった。ありがとう」

そう言って、ハカセは張に握手をした。
張は握手をした後、ハカセを抱きしめた。

「…わかった。仕事がなかったら、いつでも、雇ってやるからな」

「張…ありがとう」

張は抱擁をやめると、ポケットからしわくちゃになった札の束を出した。

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