秘密戦隊とホームレス宇宙人
桃子が指差したハカセの服装は薄汚れたボロボロの作業着だった。
とても同業者には見えなかったのか、鈴木はその場で大きく頭を下げた。

「大変失礼いたしました。楽しい会話に水を差してしまったことを深くお詫び申し上げます」

「…いいよ。見えないよね。うん」
ハカセは納得したようだった。

ハカセはその後も桃子に説得を続けた。

「すぐには決められないと思う。…君の人生を左右することになるかもしれないからだ」

「いや、でも私は…ただのキャバ嬢だし…そんな地球を救うなんて、正直自信がないです」

桃子は否定的だった。

「1週間待つ。1週間後の今日の17時、川越駅前の交番の前で待ってる。もし、世界を救うのに少しでも協力してくれるのなら、来てくれ。そうじゃないなら、来ないでくれ」

ハカセはそう言い残し、キャバクラを去った。


ハカセは賭けに出た。もしこれで桃子が来なければ、能力者をまた探さなければならなくなってしまう。それでも良かった。世界を救う意思のない人間には、世界は救えないと思ったからだ。


そして、運命の一週間後の17時。

ハカセは交番の前で待っていると、すぐに警官に職務質問をされてしまった。
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