秘密戦隊とホームレス宇宙人
ハカセはボロボロの格好で、割と大きなカバンを持って交番の目の前に立っていた。
警官はあまりにも交番の目の前だったので、男を怪しいと思ったのだろう。

「どうかなさいました?」

警官に声をかけられて、ハカセは物怖じせずにこう答えた。

「人を待ってるんだ」

「そうですか。服…ここ破れてますけど大丈夫ですか?パンツちょっと見えちゃってますけど」

「熊に食べられたんだ」

それを聞いた警官は目を丸くする。
「熊!?お父さん何やってる人なの?」

「…」

「家は?どこ?」

「…山」

「山?山に住んでるの?ご本人を確認できるものあります?」

ハカセはそう訊かれてバッグからIDを出そうとしたが、ガウデス星で発行されたものだと気付き、出すのをやめた。

「…ない」

「ないんですか?ちょっとバッグの中身見せてもらえませんかね?」

ハカセは拒否した。大切なベルトに加えて、ガウデスから持ってきた色々なものが入っている。

「隠すってことは何かあるんですか?ちょっと中に入りましょうか…」

警官が交番の戸を開け、中にハカセを入れようとしたその時、女の声が掛かった。


「お父さん!」

声の主は桃子だった。
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