秘密戦隊とホームレス宇宙人
「なにやってんの?なんかすいません。うちの父が…」

桃子は警官に謝ると、警官も会釈をした。

「あ、どーも」

「私は君のお父さんじゃ…」

ハカセがそう言いかけると、桃子は一瞬怖い顔でハカセを睨んだ。
すぐに笑顔に戻ると、桃子はハカセの手を引いた。

「お父さん行こう!早くしないとお店閉まっちゃう!」

交番から逃げるように、桃子は早足で手を引いた。



「ちょっと!せっかく助けてあげたんだから一芝居打ってよ!」

路地裏で桃子がきつめに言った。

「芝居か…。すまない。ありがとう」

ハカセは助けてくれたということよりも、来てくれたということに戸惑っていた。

「…17時に来たんだけどさ…警官に絡まれてるから、笑っちゃってしばらく遠くで見てたよ」
桃子は思い出して笑うかのように笑顔でそう言った。

「…来ないと思ったし、警察にも捕まって終わりだと思ったよ」

「うん。でもさ、ここで助けてあげなきゃ、地球も救えないと思って…ね」

「なにうまいこと言ってるんだ。でも、来たということは…協力してくれるのか?」

「うん。1週間悩んだんだけど、私なんかが力になれるなら、やろうって決めた。私…本当にしょうがないんだ。お金のためだけに毎日働いて、他に何も目標がない。でも、ハカセを見てたら、何も貰えないのに、みんなを救うことに夢中で…すごいって思った」

「私が…ハカセ?」

「だって…ベルトを作ったんでしょ?」

「ベルトを作ったのはわしの従兄弟だ!」

「あ、そうだっけ。でも、ハカセでいいじゃん。なんかハカセっぽいし」
桃子はそう言って笑った。

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