秘密戦隊とホームレス宇宙人
「じゃあ、今月中に家を決めて引っ越す予定だから、職場に伝えたり、準備をしておいてくれ」

ハカセのその言葉に桃子は淋しそうに頷いた。
今まで失うものは何もないという気持ちでやってきた彼女だったが、今の職場ではボーイの鈴木を含め、ホステス達ともいい関係が出来てきていた。
それを思うと、少し淋しさが募ってきた。


「…無理に、わしみたいな他のホシのおじさんに従うことないんだそ。好きに生きたっていい。無理なら足を突っ込まんほうがいい」


「…やるって言ってんじゃん。ベルトがあたしを選んだんだから。あたしがベルトに救われたようなもんだから、次はあたしが頑張る番」

桃子はそう言って、少し無理をしてでも微笑んだ。

ハカセは、服と一緒に桃子に買ってもらった花柄の派手なショルダーバッグのジッパーを開けた。中からピンクのガウベルトを取り出して、桃子に渡す。


「…君が持っていなさい」

「え…」


「引越し費用もかかるだろう。目一杯、貢がせるんだ」

「…そうだね」

桃子は含み笑いをしながら納得して、自分のブランドの鞄にそれを入れた。


「じゃあ、公衆電話からまた連絡するから、着信拒否しないでくれよ」

「あー、了解」

桃子はそう言ってまた微笑んだ。
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