秘密戦隊とホームレス宇宙人
朝7時に目が覚めてしまった。

目覚ましは10時にセットしてある。


待ち合わせは13時。

3時間前に起きるのでも余裕なのに、これじゃ6時間もあるではないか。

二度寝したくても、寝付けない気がする。

よく眠れなかったのは、昨日の出来事があまりにも衝撃的過ぎたから。


―パチン

俺は両手で勢い良く頬っぺたを挟むと、部屋を出て浴室に向かった。

左頬がまだ少しジンジンする…。

朝シャワーでも浴びて、支度でもしよう。

「―何これ?」

部屋からダイニングに下りてきた姉の早苗が声をあげた。


「何って…弁当。暇だから親父と姉貴の分、作っておいたよ」

姉はテーブルにあった、俺の作った弁当を見て驚いている。


「弁当作ったって…熱でもあんの?」


「ねえよ」

時間があったのと、気持ちが高まっていたのはある。

彼女に対しての熱は……あるかもしれない。

「珍しいじゃん」


「いらないなら俺が食うけど?」


「味が怖いけど、持ってく。サンキュー」


「…一言余計だよ」

姉は俺の弁当を持って仕事に向かった。
元ヤンだった姉は、今はエステティシャンをしている。

根性焼きや刺青を入れなかったのが、エステティシャンという道を彼女に与えたんだろう。

親父は特別養護老人ホームで介護をしている。

その親父は、

「サンキュー」
と、俺に一言だけ言って仕事に出かけた。

姉のように口数は多くない。

< 18 / 167 >

この作品をシェア

pagetop