秘密戦隊とホームレス宇宙人
「冗談だと思うなら、擦ってみたまえ!」
と、ハカセが言ったので、俺はやってみる事にした。

どうせ、マジックかなんかで食っている連中なんだろう。

このサーカス小屋に、俺も入れってお誘いなんだろ?

涼平のベルトのソフトクリームの絵の部分を優しく擦る。

涼平が気持ち良さそうな顔をしている様子に腹が立つ。


素人の俺が擦ったって出る訳が………




出た!


「うわうわうわ」

俺は空いている方の手のひらで受け止めた。

「出ただろ?」


「…えー?ありえないっしょ…」

俺は手に乗ったクリームを見て、立ち尽くしていた。


「食べてみなさい」

ハカセがそう言うが、コレはあの男臭い涼平から出てきたクリーム…少し気が引ける。


「意外に…美味しかったよ」
と、桃子さんが言った。

彼女も食べたんだ…。


「いっただっきまーす」

それを聞いた俺は、ペロリと涼平クリームを頂いた。


「あ、普通にうまい」

味は普通のカスタードクリームだった。


「でしょ!涼平のだからなんか臭くて不味そうな感じがするけど、美味しいよね」
と、桃子さんが笑って言うと涼平は、

「臭いは余計ですよ」
と言った。



「…話が進まないねぇ」
と、ハカセが不満そうに言った。

これはハカセのせいじゃないか?

気の小さい俺は、心の中でつっこむ事しか出来なかった。

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