秘密戦隊とホームレス宇宙人
ハカセがベルトの説明を続ける。

「―で、残りの2本のベルトなんだが、レッドのベルトは、鈴木君が持っていたんだが、突然いなくなってしまった」


「…一緒に住んでたもう一人の子」
と、桃子さんが言った。


「そうなんですか…。レッドはどんな能力が?」


「レッドは、電磁波を操ることが出来る」


「電磁波?」

意味がわからない俺は、そのまま訊き返した。


「電磁波とは、マイクロ波・赤外線・可視光線・紫外線・X線・γ線などの電波で、それを自由に操れるんだ。

具体的な能力の例を挙げると、携帯が圏外の場所でもマイクロ波を操って電話したり、紫外線を相手に浴びせて日焼けさせたり、携帯電話で赤外線通信中の女子高生の個人情報を自分の携帯に盗んだり…」

そこに桃子さんが口を挟む。

「全部鈴木君がやってた行為ね」


どんだけチャラい奴なんだ?

ある意味、羨ましいけど、俺じゃ使いこなせないな。


「そんな…チャラい能力なんですか…?」

俺の問いに、ハカセは真面目な顔で答える。


「チャラいだけじゃない!使い方を変えれば、人を殺めることだって出来る!」


「…え?」


「妊娠中にレントゲンを浴びたりするのは危険だということは、君でも知っているだろう?」


「…」
俺は頷くことしか出来なかった。


「…彼はX線やガンマ線、つまり、放射線も操れるんだよ。放射線被ばくで、死者を出す可能性だってあるんだ」


「そんな危険なベルトを持って…出て行ったの」

桃子さんが淋しそうにそう言った。


「幸い、彼はマイクロ波などの弱い電磁波の使い方しか知らん。彼が放射線を使える事を知る前に、ベルトを取り上げる必要がある」

俺は、気になっていることを訊いた。


「なんで…その人は出て行ったんですか?」

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