秘密戦隊とホームレス宇宙人
俺は気になっていたことを訊くことにした。


「それで、残りの1本のベルトというのは?」


「パープルか…」


「パープル?」


「ああ。奴らの狙いだった、パープルのガウベルトの能力は……」



―ゴクッ

俺は唾を飲み込んだ。



「人を操れるんだ」


人を…操れる?


「人の心を操れるのだから、マインド・コントロールと言ったほうが正しいかな。そのベルトを付けた者に、ベルトの力でやられた相手は、絶対服従となるんだ」


「洗脳って事ですか?」


「まあ、それに近い」

もし、このおっさんが言っている事が本当だとしたら、本当の宇宙人だとしたら、

「悪がそれを持っている…?」

という事になる…。


「そうだ。悪の手に渡ってしまったんだ…」

おっさん…いや、ハカセはうつむいて首を横に振った。


「じゃあ…地球が危ないって事ですか?」

「地球どころじゃない、宇宙規模で人々が洗脳され、奴らの手の中で動かされることになる」


「なんてこった…。それじゃあ、好きな娘に、好きですって言えなくなって、ブスに告白しろって命令されるかもしれないんですか!?」

俺のその必死さに、桃子さんは、

「低レベルね」
と言った。


「俺でもそんな事は考えなかったっす」
と、涼平も言う。


「…そんなレベルを悪がやると思うか?やるんだったら一生奴隷として働かせるか、使えない人間は自殺、もしくは殺し合いするように命じることだってあり得るだろう」


ハカセのその言葉に、俺の考えがいかに浅はかで、平和な環境で育った人間の甘っちょろい考えなんだと痛感させられた。


「ただ、幸いなのは、奴らがパープルしか持っていない事だ」

そこは、俺も疑問に思っていたところだ。


「…悪はなぜそのベルトだけを狙ったんですか?レッドだって相当な能力がありますよね…」

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