秘密戦隊とホームレス宇宙人
「はい。お気にです」
涼平は満足そうな笑顔を見せている。


「逃げちゃったレッド鈴木は?」

そう訊くと、ハカセが低い声で答えた。


「…レッドローリングスターだ」


レッドローリングスター………まるでどこかのシーフードレストランのような名前だけど、格好いい。なんかロックな感じがする。


「かっけーっすね!で、俺は?」

ちょっと期待して訊いてみた。


「そうだな……“ササキクロザイル”ってのはどうだ?」


「ササキクロザイル……?」

目が点になった。


「ぷっ。ダサッ」
小さい声でそう聞こえた。

桃子さんだ。


「ないな~」

涼平も奥で何か言っている。


確かに…。


「ちょっとダサくないですか?ササキクロザイルって…。俺だけなんで名前付きで、黒って日本語だし…」


「そうか?じゃあ、黒帯ってのは?」


「もろ日本語じゃないですか!しかも漢字!!」


俺は大きくうな垂れる。


「…文句の多い子だねぇ」

ハカセが不満そうな顔をしている。

不満なのは俺の方だ。


「…ササキ…ぷっ…クロザイルでいいじゃない?カッコイイよ」

桃子さん、途中で吹き出したら全く説得力ないよ。


「よろしくお願いします。クロザイルさん」

おいおい…涼平、それに決まった訳じゃ…。


「よろしくな。クロザイル」


「えぇ~!?」

ハカセまで!?

これに決定なの!?


「クロザイルは長いから、クロちゃんて呼ぼうかな~っ」

桃子さんは楽しそうだ。

もう、なんでもいいや。

「それで、いいです…」

黒帯よりは、マシか…。


「ササキ・クロザイル、今日からよろしくお願いします!」
俺は腹をくくって頭を下げた。


こうして佐々木好太として22年間生きてきた俺は、今日からもう一つの名前を持ったんだ。
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