秘密戦隊とホームレス宇宙人
「修行中に逃げ出して、色々考えたんだ。最初は、その現実から逃げ出したくて逃げたんだ。逃げて、前と同じように、能力を使って遊んでた。
ひどい事もやった。
人の財布とか鞄をパクって、光速で逃げたりもした。売人からドラッグをパクって、友達とやったりもした。その時、どっから聞きつけたのか、溜まり場にしてた店に警察が入ってきた。俺は捕まるのが怖くて、一人で逃げた。ベルトの力で逃げたんだ。ダチを捨てて…。
それで、思ったんだ。
俺、今何やってんだろうって。
友達を捨てて、女の家に隠れて、人にばっかり迷惑かけて、戦うのを辞めて…。
俺が戦うのを辞めちまったら、地球が終わるんじゃないかって。
俺しか救えねーんじゃねぇかって。
こうやって世界が平和なのも、あと少しなんじゃないかって考えたら、責任感じてきて、地球のためなら、俺一人が犠牲になってでも、戦わなきゃって思った。
友達一人救えない俺だけど、地球を救えるチャンスなんじゃないかって。
ベルトを拾った俺の、使命だと思ったんだ」
「レッド…」
「俺がハカセにあんな態度を取ったのも、わざとなんだ。本当はもっと修行して欲しかったんだけど、いずれは出てくつもりだったから…あれでよかったんだ」
「本当に一人で戦うつもりなのか?」
俺がそう訊くと、鈴木は立ち上がり、俺のほうを向いてこう言った。
「この事は内緒にしといてくれよ。話したら、引き戻そうって必死になるだろうから」
「いや、でも、みんなで力を合わせて…」
「…他のメンバーが一緒だと無駄死にする可能性がある。俺だけでいいんだ。死んでも敵からベルトを取り返す。犠牲になるのは、俺だけでいい」
「…レッド!待てよ!」
俺は歩いて行ってしまうレッド肩を掴んで止めようとしたが、彼の能力で体に熱いものを浴びせられた。
「うっ!熱い!」
俺が怯んだ隙に、レッドの体は光に包まれていく。
「レッドーーーー!」
レッドは光速のスピードで遥か彼方へと消えていった。
「これが……レッドの能力」
気付けば俺は、公園に一人取り残されていた。