秘密戦隊とホームレス宇宙人
夕食を済ませると、ガウレンジャー本部のダイニングは、一家団欒のような落ち着きを見せていた。
テレビのバラエティ番組を見ながら、ハカセと涼平と3人でくつろいでいると、階段を下りる足音が聞こえてきた。

振り向くと、桃子さんはメイクアップして、夜の街へ舞い降りる姿になっていた。

―化けたんだ。


「じゃ、仕事に行ってきまーす」

「はーい」

「気をつけてな」

「行ってらっしゃいませ」
と、みんなで返事をした。

桃子さんはキャバクラへ出勤した。


「涼平は…バイトとかしてないの?」
と、訊いてみた。


「俺は、仕送りで生活してます」

「…今年でいくつだっけ?」

「二十歳っす」

…働けよ。

「いいなぁ。仕送りかぁ…」

「はい!」
涼平は満面の笑みで返事をした。



俺は今日もバイトで、美沙ちゃんが今日も出勤のため、早めにバイト先に向かった。

コンビニに入ると、レジには美沙ちゃんがいた。


「あ、おはようございまーす」

「おはよう」

美沙ちゃんの笑顔に、思わず顔がほころんでしまう。
いつものコーヒーを手に取り、レジに向かう。

「あと…タバコ…」

本当はまだ吸い切っていなくて、昨日買ったやつが残っているのだが、美沙ちゃんがいるので買ってしまう。

「はーい」

やはり銘柄を覚えてくれていた。

―ピッ

「昨日大変でしたねー。無事でよかったです」

美沙ちゃんも昨日の事件のことをオーナーから聞いたらしく、知っていた。

「あ、ありがと。なんとかなったよ。磯貝の活躍もあって」

「磯貝さんが捕まえたんですもんね!」

「ああ。すごいよ。彼は」

俺も、ちょっとは力になったんだけどな…。


「今日は磯貝さんもう来てますよ」

「え?磯貝が?」

美沙ちゃんの一言に驚いた。

あいつがこんなに早く来るなんて…。


「熱でもあるのかなー?倒れられたら困るんだけど」

「ですよねー。いつもギリギリなのに、おかしいですよねー。でも、熱がありそうなぐらい、具合が悪そうでしたよ」


「へぇ~」

具合の悪そうな磯貝を見に、休憩室兼、事務所へ入った。
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